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liberteenしゅんすけのブログ

自分の備忘録です。

動画の編集1 下処理

動画編集のやりかた

編集の方法論にはいろいろな人のやり方があり正解は無いと思いますのであらかじめここで説明する方法は新舘なりのやり方だとおことわりしておきます。また私はPremiereを使うことが多いのでPremiereで出来ることをベースに話していますが別のソフトで実現できない機能があったとしたらこちらもあしからずご了承下さい。

私の場合は最初にNGカットも含めて全てのカットに目を通します。もちろん明らかに単なる撮影ミスの素材もあったりしますが、それも含めて倍速であっても全てのカットをいったんは受け止めます。まずは取捨選択するとか評価するという意識を捨てて無心に頭にすべての情報をインプットするためです。最初から特定のカットを好きになってしまったり、長尺のカットをプレイバックするのにイライラするといった、個々のカットに対する好き嫌いやえこひいきの感情を持ってしまうと、どうしても後工程がそれに引きずられてしまって、編集のマジックが起きにくくなるということがあると感じています。

 

全てのカットを頭に叩き込んでしばし呆然としたあと、自分の脳は無意識的にいまフル回転をしていて何かのマジックを醸成しようとしているんだと信じつつ、無心になって下ごしらえの作業を開始します。まず下ごしらえでは1つ1つのカットごとに、明らかに不要な箇所を切り捨てていきます。キュー出しのカウントをしている冒頭ののりしろであったり、映像の中でなにごとも起きていない空白の時間だったり、何らかの撮影ミスをしているような箇所を切り取って削除していきます。カット全体が使い物になりそうにない場合は、カット自体を削除するか、ゴミ箱的なエリアに退避させておきます。こういった下処理を綿々と行っていくと自然とカットの使い道がイメージされてくるので、ざっくりとカットを分類したり、大事なカットに色を付けてマーキングしたりすることもあります。

 

次に全体の色や明るさのトーンとくらべて明らかにおかしいバランスのカットを他のカットに馴染むように色調整します。特定のカットだけ逆光になって被写体が真っ暗くなってしまったような場合です。全体的な色のテイストの調整は最後にやったほうがパソコンに負荷をかけないので、そこは最後の仕上げの段階までとっておきます。まずここでいじるのは露出や色温度が大きくおかしくなってしまったカットだけです。色合わせのあとは音のレベル合わせをします。音調整も仕上げの工程でやるという人もいるかと思いますが、私は編集中に音のバランスが狂っているとイライラして作品のイメージが描きにくくなるので、最初の段階でだいたい均等になるように全てのカットの音量を合わせてしまいます。

 

結果的にすべてのカットに2度ほど目を通すことになり、そのプロセスを通じて当初の企画が少し刺激を受けてアップデートされ、最終的な作品像があらためて浮かび上がってくることになります。そのイメージをうけて次の調理の工程に移ります。

 

 

追記

私はこのように、1つ1つの素材をまずは手で触って感触を確かめたいタイプで、最初の段階ではできるだけカットを残しておいて、使わないかもしれないカットに対しても基本的な下処理は済ませるタイプです。しかし動画制作に慣れてくると企画段階から完成イメージが明確に具体化でき、ゆえに完成形に向けて想像通りのOKテイクを(下処理の段階から)ぱぱぱっと選び、脇目も振らずに突っ走るような編集ができてしまうようになるかもしれません。しかしそういう編集を経てできあがったものは確かにシナリオどおりなのだけど、どこかよそよそしく、その場の興奮や感情の高まりを封じ込められていないように感じることもあります。登場人物が操り人形のように見えてしまうと言えばイメージが伝わるでしょうか。その理由は現場のアドリブで撮影されたカットやNG気味のカットについて、その真意を汲み取る前にそれらを軽視して捨ててしまったことに往々にして起因するのではないかと感じています。企画の項目でも触れたように、編集の最初の段階は撮影された全てのカットを一旦は頭よりハートで受け止めて企画を再構成するための、静かで重要な時間なのだと思います。そしてときにはキュー出しののりしろを敢えて使って被写体の表情が引き締まっていくさまを描写したり、すらすらとセリフを言えているセカンドテイクよりもたどたどしさの残るファーストテイクを採用したりするような、料理で例えれば敢えてえぐ味を残したりヘタが付いたままにするような仕事も作品にいきいきとした血を通わせることになったりします。編集とはなかなか奥深いものです。